アトリビューションとは?モデルの種類・GA4設定方法・クッキーレス時代の分析手法まで徹底解説

2025年10月29日

複数の広告やSNS、SEOなどを運用していると、「どの施策が最も成果に貢献したのか?」が分かりにくくなります。

従来のラストクリック評価では、実際にユーザーを動かした他の接点が正しく評価されないでしょう。

この課題を解決するのが「アトリビューション分析」です。

アトリビューションとは、ユーザーが購入や問い合わせに至るまでの複数の接点を分析し、それぞれの貢献度を数値化する考え方です。

本記事では、アトリビューションの基本概念から主要モデルの違い、GA4での設定方法、クッキーレス時代の新しい分析手法までを解説します。

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アトリビューションとは?広告効果を正しく測るための基本

アトリビューションとは?広告効果を正しく測るための基本

アトリビューションとは、ユーザーがコンバージョンに至るまでに経由した複数の広告やチャネルの貢献度を測定・分析する手法です。

デジタルマーケティングではユーザーは検索エンジン、SNS、ディスプレイ広告、メールなど様々な接点を経て購買行動を取ります。

アトリビューション分析により各接点がコンバージョンにどれだけ寄与したか数値化することで、本当に効果のある施策を見極め、適切なマーケティング戦略立案や予算配分が可能になります。

正しくアトリビューション分析を行わない場合、特定の広告やチャネルに評価が偏り、本来成果に貢献している施策を見落としてしまうリスクがあります。

例えば最後のクリックだけで効果測定すると、購入のきっかけを作った上流の広告を「効果がない」と判断して停止してしまう恐れがあります。

こうした理由から、広告の間接効果も含めて正しく測定するアトリビューション分析が重要と言えます。

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アトリビューションモデルの種類と違い

アトリビューションモデルの種類と違い

アトリビューション分析には、コンバージョンに対する貢献度をどのように割り振るかのモデルが複数存在します。

それぞれのモデルでどのタッチポイントにどれだけ重み付けをするかが異なり、特徴や適した活用シーンも変わります。主なモデルとして、以下のような種類があります。

ラストクリックモデル

ラストクリックモデルは、ユーザーがコンバージョンに至る直前にクリックした最後の広告やキーワードに100%の貢献度を割り当てるモデルです。

例えば検索広告→SNS広告→リターゲティング広告で最終的に購入した場合、一番最後のリターゲティング広告だけに成果を帰属させます。

ラストクリックモデルは費用対効果を測定しやすいシンプルなモデルで、短期間で完結するキャンペーンやセールの効果測定に向いています。

一方で、ユーザーに商品を認知させた初期の接点の効果は評価されにくく、認知段階のファネル上層の広告の貢献を見落としがちになるという欠点があります。

認知拡大を目的とする施策の評価には適さないため注意が必要です。

ファーストクリックモデル

ファーストクリックモデルはラストクリックモデルと正反対で、ユーザーがコンバージョンに至る過程で最初にクリックした広告に全ての貢献度を割り当てるモデルです。

例えば「○○ おすすめ」といった一般キーワードの検索広告からサイトに初訪問し、その後最終的に購入した場合、最初の検索広告に100%の貢献があったとみなします。

このモデルでは新規顧客との最初の接点を重視でき、認知獲得施策の評価に適しています。

しかし、ファネル下層であるリターゲティング広告や指名検索など購入直前の施策の効果が正しく評価されないため、下流施策への投資判断を誤る可能性があります。

線形モデル

線形モデルは、均等配分モデルとも呼ばれ、コンバージョンに至るまでユーザーが接触したすべての広告やチャネルに対して均等に貢献度を割り当てるモデルです。

例えば購入までに4つの広告に接触した場合、各広告に25%ずつ貢献度を配分します。

複数チャネルをまたぐキャンペーン全体の効果を俯瞰するのに適したモデルであり、どの広告やメディアも均等に評価するため全体像を把握しやすいのが特徴です。

ユーザー行動を広く分析したい場合や、長い購買プロセス全体での各施策の役割を把握したい場合に有効です。

減衰モデル

減衰モデルは、コンバージョンに至るまでにユーザーが接点を持ったすべての広告に貢献度を割り当てますが、コンバージョンの時点に近いほど高い貢献度を配分するモデルです。

直前の接点ほど重視しつつ、時間を遡るにつれて徐々に貢献度を減らして割り振るイメージです。

これにより最後の接点だけでなくそれ以前の接点にも一定の価値を認めることができます。

減衰モデルは、長期間にわたるユーザーの検討プロセスを詳細に分析したい場合に効果的です。

また各接点の価値に強弱をつけられるため、例えば数週間程度の短期間で展開するプロモーションの効果検証にも向いています。コンバージョンへ至る時間軸を考慮できる点が大きな特徴です。

接点ベースモデル

接点ベースモデルは、コンバージョン経路の「最初」と「最後」に高い貢献度を割り当て、中間の接触には残りを割り振るモデルです。

典型的には最初の接点に40%、最後の接点に40%、そして間の接点群で残り20%を均等配分するといった設定になります。

このモデルは、新規顧客獲得の起点となった接点と、購買決定に直接影響を与えた接点の双方を重視できるのが利点です。ファネル上層と下層をバランスよく評価したい場合に適しており、全体としてマーケティング施策を俯瞰しつつも最初と最後の役割に着目できます。

ただし、中間の接点の評価割合が低くなるため、途中の接触点が果たした役割を見逃す可能性もあります。中間プロセスでのユーザー育成に大きな施策がある場合は、その点を考慮して活用する必要があります。

データドリブンモデル

データドリブンモデルは、機械学習アルゴリズムを用いて各接点の貢献度を動的に算出するモデルです。

過去の膨大なコンバージョンデータを学習し、タッチポイントの組み合わせや順序、ユーザー行動パターンから各接点の寄与度を自動で調整します。

ビジネス環境やユーザー行動の変化に応じてモデル自体を適応させられるため、季節変動や新商品の投入といった状況変化に強いのが特徴です。

ただし、高度なアルゴリズムモデルを正確に機能させるには十分な量のデータが必要となります。

コンバージョン件数が少ない場合やデータが断片的な場合は精度が安定しないため、一定の規模以上のデータを有する企業に適したモデルと言えます。

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アトリビューションモデルの選び方

アトリビューションモデルの選び方

自社に最適なアトリビューションモデルは、ビジネスの状況や目的、顧客の購買プロセスに応じて異なります。

どのモデルを選ぶかによって得られる分析結果や意思決定も大きく変わるため、自社のフェーズやチャネル構成、保有データ量を踏まえて慎重に選定することが重要です。ここでは、モデル選定時に考慮すべきポイントをいくつか解説します。

ビジネスフェーズ別の選定基準

まずビジネスのフェーズや注力目標によって適したモデルが変わります。

例えば、新規顧客の獲得に注力したいフェーズではファーストクリックモデルが選ばれる傾向があります。最初の接点を評価することで、どの経路で認知したユーザーが後に顧客化しているかが把握しやすく、新規開拓に繋がる上流施策の強化に役立つためです。

一方、既存顧客のリピート購入やコンバージョン率向上が課題である場合、ラストクリックモデルで下流施策の効果を重視する選択も考えられます。実際、「新規顧客獲得を重視するなら起点モデル、リピート率向上が目的なら終点モデルを選ぶ」など、目指す成果によって適切なモデルは異なります。

また、扱う商材や購買プロセスの長さもモデル選定の重要な基準です。例えば高額商品やBtoB商材など検討期間が長い場合は、コンバージョンまでに多くのタッチポイントを経るため、減衰モデルや接点ベースモデルのように包括的に各接点を評価できるモデルが適しています。

実際、販売サイクルが長い商材ではタイムディケイやポジションベースドモデルを用いることで、購買までに有効に機能した中間プロセスの広告も含めて分析できるでしょう。

チャネル構成に応じた判断

自社が活用するマーケティングチャネルの構成も、適切なモデル選択のポイントです。

複数の広告媒体や流入経路を横断してマーケティングを行っている場合、マルチタッチ型のモデルで貢献度を把握することがとりわけ重要になります。

例えば検索広告・SNS・メールマガジン・テレビCMなど多様なチャネルでアプローチしている商品では、ユーザーが認知してから購入に至るまでの経路が複雑になりがちです。そのため、各チャネルが果たす役割を正確に可視化するためにアトリビューション分析が欠かせません。

一方で、ほとんど単一のチャネルに依存している場合は、そもそも接点の分岐が少ないため複雑なモデルを使うメリットは小さくなります。

データ量・信頼性に基づく選択

保有するデータ量や計測精度もモデル選択時に考慮すべきポイントです。

高度なデータドリブンモデルは精緻な分析が可能な反面、機械学習に十分な履歴データがないと有効に機能しません。

そのため、コンバージョン数が少ない新規事業やニッチな商材の場合、無理にアルゴリズムモデルを使っても統計的ゆらぎが大きく、かえって誤った示唆を導く可能性があります。

データ量が限られる場合はシンプルに分析することから始め、データが蓄積された段階でアルゴリズムモデルに移行するのも現実的な手段です。

また、計測データの信頼性も重要です。トラッキングの設定が不十分で流入元の情報が欠落していたり、複数デバイス間のユーザー行動を一貫して捉えられていなかったりすると、どのモデルを使っても正しい評価はできません

したがって計測環境を整備してデータの一貫性・網羅性を確保することが大前提となります。

データ品質を高めたうえで自社に合ったモデルを選ぶようにしましょう。

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GA4でのアトリビューション設定と見方

GA4でのアトリビューション設定と見方

Googleアナリティクス4(GA4)では、アトリビューション分析の機能が標準搭載されており、レポート用のアトリビューションモデルを選択したり複数モデルで結果を比較したりできます。

適切に設定・活用することで、GA4上で自社の広告経路を多角的に分析し、マーケティング施策の改善につなげることが可能です。

ここではGA4におけるモデル比較レポートの使い方やコンバージョン経路の可視化方法、さらにGoogle広告との連携設定について解説します。

モデル比較レポートの使い方

GA4の「モデル比較レポート」を使うと、複数のアトリビューションモデルで各チャネルのコンバージョン貢献度を比較することができます。

左側ナビゲーションの「広告」セクションから「アトリビューションモデル」を選択すると、このモデル比較レポート画面にアクセスできます。

画面上部のプルダウンで基準とするメインのアトリビューションモデルと、比較対象とする別モデルを選択すると、それぞれのモデルで算出されたコンバージョン数や貢献度がチャネルごとに並列表示されます。

例えば「ラストクリック」と「データドリブン」を選んで比較すると、各流入チャネルが最後の接点ベースで評価された場合とアルゴリズム評価された場合でどれほど貢献度が異なるかが一目でわかります。

コンバージョン経路の可視化

GA4では「アトリビューションパス」(コンバージョン経路)レポートによって、ユーザーがコンバージョンに至るまでにどのような経路を辿ったかを視覚的に確認できます。

このレポートでは、ユーザーが最初に流入したチャネルからコンバージョンまでの一連のタッチポイントの順序と各チャネルの貢献度が示されます。

アトリビューションパスレポートはGA4の「広告 > アトリビューションパス」からアクセスでき、分析したいコンバージョンイベントや期間、フィルタ条件を指定して利用します。

コンバージョン経路の可視化によって、例えば「多くのユーザーが最初SNS広告で知り、その後検索経由で再訪している」とわかれば、SNS広告での認知獲得と検索対策の両面から戦略を立てる、といった施策立案に繋げられるでしょう。

Google広告との連携設定

GA4とGoogle広告を連携することで、GA4で計測したコンバージョンデータをGoogle広告側に共有し、自動入札やキャンペーン最適化に活用することができます。

連携設定はGA4管理画面の「プロダクトリンク」からGoogle広告アカウントをリンクすることで行えます。リンク後はGA4上のコンバージョンをGoogle広告にインポートし、広告キャンペーンのコンバージョン計測として利用可能です。

これにより、GA4で得られたクロスチャネルの分析知見をGoogle広告の入札調整に反映させ、検索広告やYouTube広告でより適切なユーザーに訴求することが可能になります。

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クッキーレス時代のアトリビューション対応

クッキーレス時代のアトリビューション対応

近年、プライバシー保護の観点からサードパーティクッキーの規制・廃止が進み、デジタルマーケティングは「クッキーレス時代」に突入しつつあります。

ここでは、クッキーレス化がアトリビューション分析に与える影響と、対応策となるファーストパーティデータの活用や新たなモデリング手法について解説します。

サードパーティクッキー廃止の影響

サードパーティクッキーが廃止されると、広告プラットフォームや解析ツールによるクロスサイトでのユーザー行動追跡が困難になります。

その結果、従来取得できていた閲覧経路の一部データが欠落し、コンバージョン計測やアトリビューション分析の精度低下が懸念されています。

例えば、これまでディスプレイ広告を閲覧後に別サイト経由で最終購入に至ったケースでは、その閲覧履歴が把握しづらくなる可能性があります。

今後は従来以上に直接計測できる範囲のデータを充実させる工夫や、データが欠落する前提での分析手法の工夫が求められます。

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ファーストパーティデータ活用

クッキーレス時代においては、これまで以上にファーストパーティデータ(自社で直接収集した顧客データ)の活用が重要になります。

具体的には、自社サイトで取得できる行動データや会員登録情報、メールアドレスなどを活用し、ユーザーを識別・追跡してマーケティングに活かす取り組みです。

例えば、サイト訪問者にログインや会員登録を促してIDベースで行動を蓄積したり、メールマーケティング経由で来訪したユーザーを紐づけて分析するなどの手法が考えられます。

ファーストパーティデータを活用した取り組みは、クッキーに頼らず自社資産で顧客を捕捉しエンゲージメントを高めるアプローチであり、クッキーレス環境下での持続的なマーケティングに不可欠と言えるでしょう。

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アトリビューション分析のよくある失敗例と回避策

アトリビューション分析のよくある失敗例と回避策

アトリビューション分析を行わない、または誤ったやり方で行うことで陥りがちな失敗も押さえておきましょう。以下によくある例とその回避策をまとめます。

ラストクリックだけを信用し、上流施策を軽視してしまう

最も典型的な誤りの一つです。ラストクリック評価だけでは初回接点となるディスプレイ広告や一般検索の価値が見えず、「コンバージョンを生んでいない」とみなして予算を削減してしまう企業は少なくありません。

その結果、新規顧客を獲得する最初のきっかけ自体が減ってしまい、長期的にはCV総数が伸びない事態に陥ります。

回避策はマルチタッチの視点でデータを分析することです。上流施策が後のコンバージョンにどれほど寄与しているかを確認し、判断材料に含めるようにしましょう。

自社のビジネスやデータ規模に合わないモデルを採用する

例えばデータが十分でないのに闇雲にデータドリブンモデルを使ってしまい、かえって分析結果が不安定になるケースや、自社は長い検討期間の商材なのにラストクリックだけで評価してミスリードするケースが挙げられます。

回避策として、自社の商品特性・顧客行動・マーケ目標に最適なモデルは何かを検討することが重要です。例えば新規開拓重視ならファーストクリック寄与も見る、長期検討型なら減衰モデルで全体を追う、といった具合に目的に沿ったモデルを選択しましょう。

計測設定ミスやデータ不足による失敗

モデル以前の問題として、計測タグの実装漏れやUTMパラメータ設定ミスでトラフィックが正しく分類されず、分析データ自体が不正確なケースも散見されます。

例えばメールマガジンの流入がすべてダイレクト扱いになっていたり、複数ドメイン間でクロスドメイントラッキングができておらず途中経路が欠落していたりする場合です。こうした場合どんなモデルで分析しても意味がないため、実装段階からデータ計測の精度担保に努めることが肝心です。

分析結果の解釈を誤る

アトリビューション分析はあくまで「データ上の示唆」を与えるものです。それを絶対視しすぎて「このモデルではSNSの貢献が低いからすぐに予算ゼロにしよう」など極端な判断をすると失敗につながります。

特にデータドリブンモデルはブラックボックスな部分もあるため、結果の背景にあるユーザー行動を考察せず鵜呑みにしないことが重要です。

回避策として、アトリビューション分析の結果は他のKPIや現場感覚とも照らし合わせて総合判断するようにしましょう。定量データと定性評価を組み合わせ、「なぜその結果が出たのか」をチームで議論しながら意思決定することが大切です。

まとめ

アトリビューション分析は、現代の複雑化した顧客ジャーニーの中でマーケティング投資の成果を正しく評価するための不可欠な手法です。

単一の指標だけに頼った効果測定では見落としていた貢献を可視化できるため、適切なモデル選択にもとづき分析することでマーケティングROIの最大化が期待できます。

モデルにはラストクリックからデータドリブンまで様々な種類がありますが、自社のビジネスフェーズ・チャネル構成・データ状況に合わせて柔軟に使い分けることが重要です。

GA4をはじめとする最新の計測ツールを活用すれば、複数モデルの比較やコンバージョン経路の分析も手軽に行え、施策改善の具体的ヒントが得られるでしょう。

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萩原 理香子

編集者 萩原 理香子

CATS株式会社 マーケティング戦略室

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