LINE公式アカウントのABテスト徹底解説!機能終了後の代替策と成果を上げるポイント

2025年5月22日

LINE公式アカウントは、企業とユーザーがダイレクトにつながることができる強力なマーケティングツールです。その効果を最大限に引き出す方法の一つが「ABテスト」です。

ABテストは、異なるメッセージ内容や配信方法を比較することで、どちらがより高い反応を得られるかを検証できる施策として、多くの企業に活用されてきました。

本記事では、ABテストの基本からLINE特有の仕様変更に伴う代替手段、実施手順、成果を上げる工夫、注意点までを詳しく解説します。

「LINE配信の効果をもっと高めたい」「感覚ではなくデータで判断したい」という運用担当者の方に向けて、実践的に役立つ内容をお届けしますので、ぜひ参考にしてください。

LINE友だち追加計測ツール

LINEの友だち追加を媒体やクリエイティブごとに正確に計測し、広告施策の効果改善を実現するツール。
LINE友だち追加後の「予約」や「購入」などのユーザーアクションもCVとして計測でき、売上成果につながる広告媒体が明瞭化。施策は媒体別・キャンペーン別・クリエイティブ別に計測できるため、最適な予算投下が可能に。

LINE公式アカウントでABテストを行う前に知るべきこと

LINE公式アカウントでABテストを行う前に知るべきこと

そもそもABテストとは

ABテストとは、マーケティングにおいて2通り以上のコンテンツや配信手段を用意し、実際に一部ずつユーザーに配信して効果を比較・検証する手法です。

たとえばメッセージのテキストや画像を変えたパターンAとパターンBを用意し、どちらがよりユーザーから反応を得られるかをデータで確認します。

これにより「どんなメッセージ内容ならクリック率が高くなるか」「どの配信方法が効果的か」といった仮説を検証し、ユーザーに響く最適な内容や配信方法を探ることができます。

LINEのABテスト機能は提供終了済み

かつてLINE公式アカウントには、管理画面上で簡単にメッセージのABテストができる「A/Bテストメッセージ」機能が存在しました。

しかしこの公式機能は2024年10月2日をもって提供終了となっています。

ABテストの代替手段とは

公式機能がなくなったとはいえ、ABテストそのものを諦める必要はありません。

LINE公式アカウントで引き続き効果検証を行うために、いくつかの代替手段が用意されています。主な方法としては以下の2つがあります。

・LINE公式アカウントの「絞り込み配信」機能を使う方法
・サードパーティツール(外部拡張ツール)を使う方法

絞り込み配信によるABテスト

LINE公式アカウントのメッセージ配信画面には「絞り込み」という配信先設定があります。

これは友だちを属性や条件で絞って一部にだけ配信できる機能で、これを活用すれば手動でABテストと同様の配信比較が可能です。

具体的には、まずテストしたいメッセージAを友だちの一部に配信します。このとき配信先を「絞り込み」で設定し、続いて別のバリエーションBを配信する際には、先ほど送ったユーザーを「過去の配信」条件から除外して残りの友だちの一部に送ります。

この方法なら何パターンでも順番に比較できますし、公式のABテスト機能とほぼ同様の検証が行えます。

サードパーティツールを使ったABテスト

LINE公式アカウントと連携できる外部ツールを導入することで、より柔軟にABテストを行うことも可能です。

代表的なLINE拡張ツールには Liny(リニー)、Lステップ、L Message(エルメッセージ) などがあります。

それぞれ配信シナリオ作成や顧客管理、ステップ配信など便利な機能を備えていますが、ABテストにも活用できます。

LINE公式アカウントのABテスト運用手順

LINE公式アカウントのABテスト運用手順

ここからは、ABテストを効果的に進めるための基本的な手順を5つのステップに沿って解説します。

闇雲に配信しても正しい検証はできませんので、順を追ってポイントを押さえていきましょう。

① テストの目的を明確にする

最初にテストの目的をはっきりさせましょう。何の指標を改善したくてABテストを行うのかを決めておくことで、後の分析や施策立案がブレなくなります。

例えば「クーポン利用率を高めたい」「メッセージの開封率を改善したい」など、具体的なゴールを設定します。

目的が曖昧なままだと、テストから何を学ぶべきか判断できず効果的な改善につながりません。「何をもって成功とするか」を明らかにすることが、ABテストの第一歩です。

② 仮説を立てて検証ポイントを決める

目的が決まったら、「どうすればその指標が良くなるか」という仮説を立てます。

例えば「メッセージの冒頭に限定感のある文言を入れれば開封率が上がるのでは?」「画像にCTAボタンを付けた方がクリックされやすいのでは?」といった具合です。

仮説が決まれば、それに基づいてどの要素を変えてテストするか、検証すべきポイントをひとつ選びます。一度のABテストでは変更箇所はなるべく単一に絞りましょう

たとえば「テキストのタイトル部分だけ変える」「送信時間だけを変える」など、ピンポイントで差分を作ります。こうしておけば、後で結果を見たときに「何が原因で差が出たのか」が明確になります。

③ テストパターンのバリエーションを作る

仮説に沿って、テスト用のメッセージパターン(バリエーション)を作成します。

パターンA(現状または基準とする案)とパターンB(仮説を反映した改善案)の2種類を用意するのが基本ですが、場合によってはC、Dと複数バリエーション用意することもあります。

メッセージ作成時には、ほかの要素は極力同じ条件にすることが大切です。たとえば件名や送信者名(LINEの場合はアカウント名)は統一し、変えるのは本文中の一部分だけ、という具合にします。こうすることでテスト結果の差異を純粋に変更点の効果とみなせます。

また、配信タイミングも揃えましょう。A案は今日、B案は明日というように日をズラすと曜日や時間帯の違いが影響する可能性があります。できる限り同じ日時にそれぞれのテスト配信を行い、公平な条件下で比較することが重要です。

④ 対象を絞ってメッセージを配信する

テスト用のメッセージ配信内容が用意できたら、実際に一部のユーザーに配信して反応を検証します。

このとき正確な比較結果を得るために、グループA・Bともにランダムにユーザーを抽出し、できる限り均質な条件下で比較できるようにすることが理想です。

たとえば、新規登録者だけをグループAに、既存ユーザーだけをグループBに割り当てるといった偏りのある分け方では、属性の違いが結果に影響し、正確な判断ができなくなります。

⑤ 結果を分析して改善につなげる

十分なデータが集まったら、ABテストの結果を分析します。分析では、当初設定した目的(指標)の数値をAパターンとBパターンで比較します。

例えばクリック率改善が目的なら、それぞれのクリック率(クリック数÷配信数)を計算し、どちらが高かったかを確認します。

開封率であれば開封した人数の割合、コンバージョン率(CVR)であれば実際に購買や登録など行動に至った割合を比較します。

必要に応じて再度データを細分化し、仮説と結果のズレを考察してみましょう。ABテストは一度やって終わりではなく、結果から学び次の施策に活かすことが肝心です

得られた知見をもとにメッセージ内容をブラッシュアップし、さらに別の仮説で追加のABテストを繰り返すことで、配信の精度がどんどん高まっていきます。

【DL資料】LINE公式アカウントの開設手順ー今後必ず必要になるアカウントを準備しようー

LINE公式アカウントのABテストで成果を出すポイント

LINE公式アカウントのABテストで成果を出すポイント

それでは、実際にLINE公式アカウントでABテストを行う際に効果を最大化するためのポイントをいくつか紹介します。特にLINEならではのメッセージ配信の特徴に着目したテクニックを押さえておきましょう。

吹き出しの順番を最適化する

複数の吹き出しを送る場合、その順番によってユーザーに与える印象や反応率が変化します。なぜなら、ユーザーがトーク画面を開いた際に最初に目に入る内容が異なるからです。

例えば「テキスト→画像(クーポン)→スタンプ」の順で送った場合と、「画像→スタンプ→テキスト」の順で送った場合では、冒頭に視認されるのが文章か画像かでユーザーの受け取り方が変わります。

どちらが効果的かは内容によりますが、吹き出し順序は重要な要素といえるでしょう。

プッシュ通知やトーク一覧の内容を工夫する

上記とも関連しますが、プッシュ通知やトーク一覧の表示内容にも注目しましょう。せっかく配信したメッセージも、ユーザーがトーク自体を開かなければ意味がありません。

プッシュ通知とLINEアプリのトーク一覧画面は、ユーザーがメッセージを開封するかどうかを決める重要な入口です。具体的には、複数吹き出しを送った場合は最後の吹き出し内容が通知と一覧に表示されます。

また、リッチメッセージやカードタイプメッセージの場合、あらかじめ設定したコンテンツタイトル文がそこに表示されます。この表示内容次第で「なんだか良くわからない通知だ」とスルーされてしまうか、「ちょっと開いてみよう」と思わせられるかが分かれます。

リンクの表示方法を工夫する

LINE配信の目的が自社サイトやECへの誘導である場合、リンクの貼り方・見せ方も工夫したいポイントです。メッセージ内にリンクを含める方法はいくつかあります。代表的なのは以下の3種類です。

テキスト内URL

通常のテキストメッセージに「https://...」というURLを記載する方法。ユーザーはそれをタップするとブラウザでページに遷移します。シンプルですが、URLの文字列がそのまま表示されるため見た目が地味になりがちです。

リッチメッセージ

画像全体をリンク化できるメッセージ形式。画像バナーをユーザーがタップすると指定したWebページに飛ばせます。「今すぐ見る」ボタンなどを画像内にデザインしておけば、視覚的に訴求しつつ遷移を促せます。

カードタイプメッセージ

画像+テキスト+ボタンが一体となったテンプレートメッセージです。画像の下部にタイトルや説明文を入れられ、ボタンやテキスト部分にリンクを設定できます。複数枚のカードをカルーセル表示することも可能です。

どの形式が効果的かは内容によりますが、例えばキャンペーンページやセールの特設サイトへの誘導であれば、リッチメッセージやカードタイプのように視覚的アピールがある方がクリック率が高まる傾向があります。

一方でテキスト内URLは文章の流れで自然に誘導できるため、詳しい説明文の後に「詳しくはこちら👉 https://...」と続けるとクリックされやすいケースもあります。

LINE公式アカウントでABテストを行う際の注意点

LINE公式アカウントでABテストを行う際の注意点

最後に、LINE公式アカウントでABテスト運用する際に気をつけておきたい注意点をまとめます。これらを踏まえておけば、テストの信頼性と効率が向上します。

配信グループの分け方に注意

前述の通り、ABテストではグループ分けはランダムかつ公平に行う必要があります。意図せず偏りを生まないよう細心の注意を払いましょう。

特定の属性に偏ったグループ比較では正しい知見が得られません。

例えばLINE公式アカウントでは、新規追加順や特定属性(年齢・性別・地域など)でセグメントを作ることもできますが、それをそのままA/Bに使うと属性要因が混じってしまいます。

できるだけ無作為抽出になる工夫をするようにしましょう。

認証済アカウントかプレミアムアカウントが必要

LINE公式アカウントでセグメント配信機能を使うには認証済みアカウントが必要です。

未認証のフリーアカウントでは友だち全体配信しかできず、一部配信によるテストができません。

中小企業の場合、まず無料で公式アカウントを開設して運用を始めるケースも多いですが、ABテストなど高度なマーケティングを行うなら早めに認証済アカウントを取得することをおすすめします。

認証を受ければ絞り込み配信以外にも友だち追加動線の拡充など様々なメリットがあります。

最低でも50人以上の配信対象が必要

絞り込み配信を利用する場合、配信対象となるユーザー数が50人以上でなければ配信ができません。

これは、LINE公式アカウントの仕様として定められており、少数のユーザーに対してABテストを行うことができないことを意味します。

LINE公式アカウントでABテストを行う際には、配信対象のユーザー数やグループ分けの方法に注意を払うようにしましょう。

まとめ:LINE公式アカウントのABテストで配信効果を高めよう

LINE公式アカウントにおけるABテストは、メッセージ配信の成果を高めるために非常に有効な手法です。

現在は公式のABテスト機能が提供終了となっていますが、「絞り込み配信」や外部ツール(Liny、Lステップ、L Messageなど)を活用することで、実質的に同様の検証が可能です。

ABテストを効果的に行うためには、「目的設定」「仮説立て」「メッセージのバリエーション作成」「ランダムな対象グループへの配信」「結果の分析と改善」といった一連のステップを正しく踏むことが重要です。

特にLINEならではの要素として、吹き出しの順番やプッシュ通知の内容、リンクの形式などが配信効果に大きな影響を与えるため、これらの要素も検証対象に含めましょう。

LINE公式アカウントは、使い方次第で費用を抑えつつ高い成果を出せるマーケティングツールです。ABテストを取り入れることで、メッセージ配信の質を高め、無駄のない効果的な運用が実現できます。

ユーザーの反応データを活かして継続的に改善を重ね、LINEのポテンシャルを最大限に引き出しましょう。

CATSメルマガ登録フォーム

CATS株式会社がご提供する
サービスについて
詳細をご覧いただけます。

萩原 理香子

編集者 萩原 理香子

CATS株式会社 マーケティング戦略室

CATS株式会社 マーケティング戦略室

Contact

マーケティングにお悩みの方は
お気軽にご相談ください

CATS株式会社のサービスを知りたい方

CATS株式会社にご相談したい方